9月6日クエストイベント後(Rikerの日記)


なんとか、引き留めようとしたんだ。必死に俺の気持ちも伝えた。

でも、あいつの心には全く響かなかった…。眼が、深い深い闇のまま。
…そう、子どもの頃、夜中に起きて部屋を出たときに感じた恐怖の闇を思い出させた…。

そうしているうちに、意識を失った。



目が覚めたときには、見知った顔があった。


起こしてもらい、何とか一息ついたとき、あいつはもういないことに気づいた。


くそ…俺のせいだ…。俺が、あいつのことをちゃんとかばってやらなかったから…。


そうこうするうちに、みんなが俺に質問してきた。いったい何があったのか?誰にやられたのか?




最初は、話すつもりはなかった。

みんなをこれ以上巻き込みたくなかったから。でもそれ以上に、あいつを何とかしてやりたかったから…。自分の手で…。


でも、既にみんなはかなり巻き込まれていて、たまり場には不気味な落書きもされていた。仕方ない。正直に話そう。

そう思って、俺は少しずつ話をした。

今、ここに記そう。その場で言わなかったことも、整理して…。


セルピコをけしかけたのも、イーデンさんに毒を盛ったのも、たまり場の落書きも、

すべて、同じ人物がやった。


それは、Trip(トリップ)という男。…俺の弟だ。腹違いだが…。


あいつは、俺と共にイズルードで育った。養父母のもと、幸せだった。
一緒に釣りに出かけたり、プロンテラまで買い物に出かけたりしたのを覚えている。

いつも「お兄ちゃん」とニコニコしながら俺に付いてきてくれた。俺も、Tripの事をかわいがった。いつだって守った…。


でも…。Tripは、俺たちの前から消えた…。まだ10歳くらいの頃だった…。



もう、死んだと思っていた…。あきらめていた…。






しかし…。ある日手紙が来た。短い文で、毎日のように。

「兄貴は、ボクのモノだよ。」


「あのことを忘れたんじゃないよね。約束だよ。約束だよ。」


「なんで、兄貴は、のうのうと仲間と一緒に過ごしているの。なんで、こっちにこないの。」



そしてついに、Tripが俺の前に姿を現した…。
あまりのショックで、もうろうとしている中、覚えているのは、必死に謝る俺。

そして、

「兄貴の周りを全部壊してやる。じっくりと大きなヒビを入れてやる…。」




本当に、みんなには迷惑をかけていてすまないと思っている。

でも、あのクエストイベントの後みんなに話をしたとき、黙ってうなずいてくれて、少しほっとした。

話して良かった。いや、逆にコレまで話さなかったことを後悔した。今まで黙っていてごめんなさい。

聞いてくれてありがとう。

いつか、あいつと決着をつけないといけない…。